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茶韵



深い息をして鼻腔の中へ

ゆっくりと氣流を起こし


香氣の螺旋が一層の膜を描き

広がり立ちゆくのを待って


ふくんだひと口に寄せる波は

喉の奥よりまた口腔に戯れる


すっと触れる氣配と感情

その繊細に茶の美はひらく。



香り、味わい、

それは単一なものではなくして

幾つもの氣配が交わることで生まれ

韵という世界に表現される。


豊かさは茶葉の内質に伴なうもの

もしもこの韵の神秘が解けるなら

人はさらに多くの茶を欲することなく

目の前の小さな声へ耳を寄せるでしょう。


ひとたび韵と心を通わせられたなら

それは一生ものの楽しみをもてる。


誰かの情報に合わせて飲むのではなく

香りや味わいの自然、韵の美しさまで、

何にも捉われずにそのものと対話する遊びは

茶を愛好する人の大事にする醍醐味のひとつ。



茶、一席 'on falling

香りや味わい その韵に親しみながら、

身近な体という自然に触れるひと時を。


le you




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