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on drinking specimen

飲む時間から茶葉の標本を採る。

数千年前より変わらない農法で、人の手によらず自分の力で生き、

それが自然生態系の一部として絶えず循環している。

多くを求めず豊かさを生み出す山岳民族の性に守られた場所にだけ、

生き続けることのできるお茶の樹がある。

その野生がひとたび体へ染み込んでゆくと、

もう忘れることのできなくなる余韻、

悲しくなるほど深く、揺れるほどに魅了されていく。

枯れ色に染まるちいさな溜息たち、

儚く美しい それはある秋の生態に宿るものより。


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